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月下独酌−瞬間の燃焼を愛した詩人−

■月下独酌

わら筵を丸めて左腕に抱え、右手には一壺の酒をぶら下げて深山をゆく

山間の花畑に筵を敷いて独酌す。天上天下、われただ一人なり

やがて夜も更けて、出てきた月を鄭重に迎え二人となる

全山、月の光に映し出され、我が身に従う影が浮かび出て、また一人追加

月と、我と、影の三人で乾杯する

我歌いて月は徘徊し、我舞いて影は繚乱す

詩人にとって、月と酒がなければ、音韻が踏めないという故事がある

■その1=水を飲んだことのない詩人=

さる詩人は、酒を飲みのみ詩作にふけっていたが、なかなかいい詩がでてこない。その嘆きを聞いた友人が、「川に舟を浮かべて、夜空に出る月を眺めればいい詩がでる」と忠言。

そこでかの詩人、川に舟を浮かべたもののいっこうに月の出る気配がない。業を煮やした彼は、怒って舟を揺さぶったところ、舟から落ちて溺死してしまった。

土地の人が伝えるところによると、その後、その川には月の出ない夜になると、彼の酩酊した幽霊が「やがて出る」「やがて出る」と呟きながら現れるとのこと。

ところで、この幽霊が「やがて出る」と言ったのは、月のことなのか、それとも詩のことなのか。彼は産湯を使って以来、生前は酒以外飲まなかったというから、飲んだこともない水にどっぷりつかって逃げられないことへの、恨みなのかもしれない。

唐代二大詩人
・李白−瞬間の燃焼を愛した詩人
・杜甫−命題に深く沈潜する詩人

■その2=李白の昇天説=

李白の最期(命日)について次のような伝説がある。
彼は澄みきった夜空の下で長江に舟を浮かべ、錦の衣に身をまとって大杯を傾けていた。

そのうちに、月が出てきた。水面に映る月影に魅せられた李白は、詩興のおもむくままにこれを掴もうとして、川の中に落ちて溺れ死んだという。

李白ところが、李白の消息が不明で、誰も李白の「溺死」を見届けた者がいないことから、李白は溺れたと見せかけてそのまま昇天したのではないか、という説がある。唐代の詩人はおしなべて仙人に憧れをもち、詩聖になれば生きたまま天に昇れると信じていた。

李白の没年(762年)に様々な異説がある由縁。

杜甫と並んで中国最高の詩人とされ、詩仙と呼ばれたことに異議を唱える者はいないのだが・・・。

 

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