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鍋一つで一国の主に
−調理時間世界一の料理とは−

■美食尽くしの宴席

宋美玲
<宋美麗(玲)(右)> 105歳の誕生会で

昭和39年(1964年)12月、今から約40年前に台湾を訪問した。この時は生産性本部の顧問として、台湾の経済復興について各都市での講演会と各界首脳との会食が主なテーマであった。

政治的には蒋介石総統が一族を率いて亡命してきてからまだ日も浅い軍政時代。近衛将校が出迎えてくれ、赤じゅうたんを踏んで、まずは宋美麗(玲)夫人の経営する迎賓館からスタート。6泊7日の美食攻めの連日連夜が始まった。

円卓に所狭しとならべられた料理たるや、何を食べているのかさっぱり分からないものもある。

■そこでお付きの将校が解説

「先生は、いちいち頭をかしげて料理を吟味されるが、簡単に料理の内容を申し上げることは不可能です。

昔、さる皇帝の時代、平和が永く続いたことを記念して、皇帝が一つのイベントをひらめいたのです。それは、一品の料理を一番長い時間をかけて作った料理人に一国を与えよう、というものでした。

全国にそのおふれを出し、国中の名料理人が集まって腕比べがスタートしました。一人減り二人減り、遂に最後まで鍋を握り続けていた料理人が栄誉を勝ち取りました。その間、3年3ヶ月でした。皇帝から一国を賜ったことは言うまでもありません。」

■蒋介石と夫人〜蒋介石が持ち出したもの〜

革命・戦争・内戦・・・波乱の一世紀を送ってきた蒋介石も、最後には一族を引き連れて台湾に亡命した。この時、彼が夫人と共に持ってきたものが3つある。

まず第一は近衛兵と一族。 第二には故宮博物館の、国宝中の国宝。 第三に、中国における当代超一流の料理人をごっそり。

蒋介石は87歳で没したが、その夫人は106歳まで生きた。秦の始皇帝が今から2千年以上も前に、不老長寿の薬を探し求めて全国を行脚したが、願いかなわず50歳で崩御した。

その2倍も生きて美食の限りを尽くしたのだから、中国始まって以来の美食長寿者と言えようか。

「故宮博物館」〜ああ、素晴らしき中華思想〜

■台湾の近衛兵将校の話

「北京の故宮博物館に行っても、展示されているのは残り物ばかりで、大したものじゃない。まあ、中国の国宝を見るなら台湾に来るべきですよ」

■北京故宮博物館の元職員(定年退職者)

「北京の宝が残り物だって!?とんでもない!蒋介石が国宝を持ち出したのは確かだが、それはほんの一部。しかも目利きが選んだものじゃないから、大したことないよ。それに、北京の博物館にあるものを全て整理するだけで、後100年はかかるね。

※現物を調査したわけではないので、念のため。

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