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古代中国の料理人

■その命運、生きるも地獄、死ぬも地獄

15年程前の話だが、広州路を車で東から西へひたすら突っ走り、珠海へと抜ける山道を通った時のことである。

※このときは仕事上の旅(政府顧問)だったので、休憩のたびに大いに歓迎された

この途中で、300年前から掘り起こし、今もなお掘り続けている王族の墓地の近くを通った。政府の役人が土地の名士を紹介し、ここは国の指定保存地区なので人民は土塀の中には入れないが、今回は特に先生を墓の中まで案内しようということになり、囲いの中から墓へと近づいた。数百人がかりでかなり大掛かりな作業をしていたが、道具は全てスコップとクワ。

地下一層から二層までは採掘ずみ、三層目の途中に入ったところである。政府の役人の許可(案内)で穴に入る。何千年も前のあの世(前世)が掘り起こされているその土壌の臭いがぷんぷんと鼻をついて苦しい。二層の広い土間に王族のミイラが並列してあり、箒で丁寧に露出している。まず、夫婦のミイラが真中に並び、その両脇には二体、三体とミイラが並行して存置されている。

この土地の名士曰く、

「この脇のミイラは生前主人が重用し、可愛がっていた名料理人です。ご主人の死後、天国で料理するために、ご主人が亡くなったとき殺され、並列して埋められたのです」

とのこと。

■主人と一蓮托生

数年前の話だが、天津の豪族の旧家でこんな話を聞いたことを思い出した。

料理人が同じような料理を何度も出したときには、主人が怒って「お前は怠け者だ」と言って殺されたとか。そこで料理人の方も「この料理は中国で私が生み出した初めての料理ですよ」と言って、名前まで新しく考案して、命名したのだという。中国料理には数万種類あるというナゾも「殺されてはかなわん」と料理人が命がけで創作し、命名したことに起因するのだろうか。

昔々、料理人は料理がまずいと言っては殺され、主人の寵愛を受ければ天国へ道連れにされる。コックの宿命とは、生か死かではなく、「生も死も」ということになるのだろうか。

独白:たしかに、高級中国料理店でメニューをスラスラ読める人、何の料理かわかる人は、今は少なくなっている。現代は生死の問題はないからなァ。今は料理人もお客もいい加減になってしまったのかネ。

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