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酒と老馬

※大学での講義の前によく使うものです。

◎学生諸君!講義に先立ち一言、自己紹介を致します。

■孔子の名言

私の名前は井上克と申します。克は己を制して礼を尽くす「克己復礼」の克です。これは孔子が論語の中で説いている人の道です。

酒酔欲仙

しかし、この私は酒を飲み始めると「己を制する」ことができず、飲むほどに、酔うほどに、仙人の境地(酒酔欲仙)に入り込んでしまうのです。

そして、そんな年月を繰り返している内にいつのまにか私は一匹の老馬になってしまいました。老馬は何の役にも立ちません。

■老馬識途

しかし、一寸お待ち下さい。中国の諺に有名なこんな一句があります。「老馬識途」即ち、「老馬は道を知っている」という成語です。

昔、斉の桓公(前684年)が遠征からの帰りに故国への道が分からなくなった。その時名宰相の管仲が 「いくつもの戦場に出て、経験のある老馬は故郷を知っている」と言って手綱を外したところ、老馬の先導で無事帰ることができた。

という話。後に韓非子が「まして天下を治めんとする王は、経験と知恵の豊かな古老の意見を聞くがよい」と説いたのです。

だから皆さん、どうかこの私という一匹の老馬を大切にするのですよ。

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