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戦いは詐りの道にございます=劉曄=

■スパイのスパイは敵?味方?−腹のさぐり合い

中国は三国志の時代。天下は魏・呉・蜀の三国に分かれ、膠着状態が長く続いた。

お互いの腹の中を探り合い、国家間での激しいスパイ合戦が行われ、さらに国を売る二重スパイも横行した。魏の二代皇帝曹叡(注1)は名参謀 劉曄(注2)に対し、

「御身はわしに蜀を伐つよう勧めながら、今度は絶対伐ってはいけないと申すのは何事であるか」

と詰問した。これに劉曄はこう答えた。

「戦は、詐りの道にございます。私が逆しまのことを申し上げたのは、その故あってのことにございます」

■兵は詭道なり

劉曄は自分のスパイからの情報で、敵側のスパイが入り込んでいることを察知していた。そこで、まず彼等を欺かなくては勝利への道は思うように事が運ばないと考えたのである。

戦うと言っては退き、遠ざかると言っては近づいて、敵のスパイの目を如何に眩ますかが、勝利への道筋であることを念頭に置いての発言だったのである(注3)。

劉曄は、屏風の裏に敵側のスパイが身を潜め、聞き耳を立てているのを察知していた。

■これぞ名参謀

この劉曄の、スパイの動きまで計算に入れた深慮遠謀による作戦でことごとに勝ちは進み、結果は大勝に終わった。戦後、論功行賞の場で皇帝曹叡は、あの時の劉曄の諫言を”実にも”と悟り、

「劉曄こそ、金銀珠玉にも比すべき貴い言葉で国を救った名臣である」

と、賛辞を惜しまなかった。

注1:曹叡(そうえい) ・・・帝号は明帝。曹操の孫。
注2:劉曄(りゅうよう) ・・・明帝の祖父曹操の代から仕えている名参謀。
注3:孫子の始計篇に「兵は詭道なり」という言葉がある。
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